165-参-経済産業委員会-7号 平成18年12月07日
入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部を改正する法律案
官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案

○佐藤昭郎君
 今朝のテレビ、和歌山県の知事の談合問題、報じられておりました。そしてまた、宮崎も火を噴いており、福島はごらんのとおりです。こういった中で官製談合や公共調達に対する国民の批判が非常に高まっている。こういう中で、十四年に制定された議員立法を更に改正して強化していこうという、これは公務員を処罰する法案になるわけですから、やはり議員立法ならではというか、こういう私は役割だと思います。
 と同時に、これは公共調達に携わる公務員のみならず全公務員にとって正に屈辱的な、誇りを失わせる重い法案でもあるんです。これにやはりしっかり立ち向かっていくというか、なさった両党の提案議員の諸君に心から敬意を表したいと思います。
 まず、質問に入る前に、私の、官製談合そして公共調達に対する考え方を少しお話しさせていただきたいと思います。
 私は、官製談合にやっぱり二種類あると思います。今テレビで盛んに取り上げられている和歌山あるいは福島、そして宮崎もそうなるかもしれませんが、そして市町村長においてもこれは報道されている。個人が、個人型といいますか、贈収賄とセットになって行っている官製談合、これは私は、民主党の御提案にもあるように、これは悪質極まりない談合だと、これ官製談合だと思います。
 しかし、一方で、構造的、あるいは公共調達の制度的枠組みに基づく、個人の責務だけには帰せない構造的な官製談合もあるわけですね。それはやはり罪の度合いから見て、これ悪いことです、もちろん、しかし私が最初に申し上げました悪質極まりない談合とはやはり違う私は性格を持っているんではないかと、このように思います。
 なぜこれを構造型、組織型というふうに私は考えるかという点について、もう提案された委員の方々はみんな御承知だと思いますので繰り返しになるかもしれませんが、少し申し上げたいと思うんです。
 一つは、これはやはり談合問題そのものが、我が国の旧来の伝統的な経済の社会制度、これはアジア・モンスーン型の農耕社会ですね、ですから、欧米型のようないわゆる競争型、契約型社会と違う、調整、話合い、談合型社会というのがやはり日本の伝統的な社会制度としてあったということは、これは疑いのない事実でございます。
 それから、二番目は、公共調達の制度的枠組みなんですね。昨日、公共調達を主として所管する国土交通省と農水省の方から一体どれぐらいの公共調達が一年間に行われたかと伺いますと、農水省で二十三万二千件、一年ですよ、国土交通省で三十六万件、これは役務も入りますからね。しかし、いわゆる仕様書や図面等を用いて実施されている公共工事というのが農水省で約八千、国土交通省で二万四千。これだけの膨大な公共工事を一年間、単年度予算で、しかも工期の短い中で仕上げていくという、ある意味では戦場のような状況があります。
 それから、私も現場で工事を施工したり監督した経験があるんですけれども、この公共工事というのは請負工事なんですね。発注するときには物ができてない。仕様書とか図面に基づいて仕上げていくわけですが、現場において当初想定されない様々な問題が生じているのは事実です。これは気象の問題もありますね、自然的な条件。地下水網を事前にしっかり調べておけばいいんだけれども、なかなかこれはできない。二万四千件、三万という工事をやっていく中で、全部の工事についてこういう手当てができるかというとなかなか難しい。
 それから、単年度予算でありますから、繰越し、不用という問題もある。仕上げようとして工事が短縮された場合について、その予算は繰越し若しくは不用として落ちてしまう。あるいは足らない場合もある。実際に工事を進めておきながら、いろいろな条件の中でこの工事はこれで終わらないというときに、様々な手だてを通じて受益者や国民の負託にこたえて完成させる際にやはりいろいろな無理が生ずる。そのときに、従来型の公共工事の現場でありますと、発注者と受注者が話し合って、これはしかし何とかこの予算がオーバーするけれども仕上げてくれないかと、ある意味で受注者側にとってみると泣くという仕組みですね。しかし、その代わり次の工事で何とかするからというようなことがやはり私は従来型の公共工事の発注ではあったということは否定できないんです。そういった全体としての現場条件に伴う様々な困難性というのもこの中にある。
 それから、次は、例えば今度の法案でも問題になりますが、地域振興や中小企業の育成という問題です。官公需法というのがある。これは中小企業に受注機会を持たせるために、国自ら、あるいは地方公共団体が数値目標を取ってある程度高めていかなきゃいけない、そのための発注分割、受注の分割や発注基準の訂正というのは許されているんですね、これ。しかし、これは、地域分割というのをあくまで進めていった場合に、特定の企業の割り付け表とどう変わるかという問題になりますと紙一重になってくる。こういった制度的な裏付けもあるわけであります。裏付けといいますか、背景もあるわけであります。
 それから最後に、天下りの問題。これがいわゆる構造型、そして制度的な官製談合問題の大きな要因の一つですけれども、これを取りましても、この天下り問題そのものは今の人事院制度、あるいは退職管理、官民人事交流、これは昨年の行革国会で行政改革基本法のときに論議し、公務員制度全体の中で我が党は天下りの問題は解決しなきゃいけないと申し上げたんですが、こういった構造的な要因が実は第二番目に申し上げた官製談合の背景にあるわけです。
 したがって、この官製談合の最後の二つ目のものを根絶していくためには、この官製談合というのを個人の犯罪や個人の違法行為としてとらえて罰則を強化するだけではなくて、構造改革全体を推し進めていくことを一緒にやらないと私はいい解決策にはならないだろうと、こんなふうに思っておるわけであります。
 以上申し上げまして、私の質問に入らせていただきます。
 まず、与党の提案者の方に御質問したいんですが、職員による入札等の妨害に関して、刑法の改正ではなくて官製談合防止法の改正で対応された理由。それから、続けていきますと、第二条第五項第四号で、幇助の類型で、特定の入札談合に関しあるいは入札談合等を容易にする目的という要件を置いた趣旨はどこら辺にあるのか、お答えいただきたいと思います。

○衆議院議員(佐藤剛男君)
 佐藤先生の御質問の後半の部分からスタートさせていただきます。
 まず一つは、職員による入札等の妨害に対して、現行の刑法九十六条の三でございますが、の改正じゃなくて、現在の官製談合防止法の改正の道を取ったと、なぜだという点でございます。これは、民主党の案と比較しながらちょっとお答えいたしたいと思います。
 この現在の法律は議員立法でございました、先生御指摘のように。現在、民主党も議員立法として出しております。民主党の案の基本の違いは、罰則ですが、私ども自公の案は五年と、それから、罰金というのを現行どおり二百五十万円。現行どおりという意味は、現行の刑法九十六条の三にある二百五十万。それから、民主党は罰金がないんです。それから、五年ではなくて三年になっています。刑法自身は談合は二年なんです。今、罰則等を、テロの国際法はまだ通りませんが、通れば二年が三年になるはずですけれども、そういうストラクチャーを取ってございます。
 現在のこのいわゆる官製談合、このセイというのは、政治の政じゃなくて製造業の製でありますが、国、地方公共団体、それから特定の法人、こういう者たちが主体でございまして、そのためにでき上がったのがこの法律なんです。それで、この法律の中心を成していたのには今までは罰則がなかった。何がやっていたのかというと、中心は、公正取引委員会が、三つの類型があるんですけれども、この三つの類型に対して改善措置命令を出せると。それから、損害賠償あるいは懲戒免職とかですね。そういうような体系になっていたわけでありますが、今回は、刑法という、これは刑法は時間も掛かるんですが、刑法というものではなくて、官製談合という法律でできた、先生方のおかげででき上がっているこの法律にこの罰則を入れて、しかも罰則に抑止力を入れて、五年というものを入れて、そして罰金は弾力的に、民主党案はないんです。ないということは、逆に言いますと懲役の方に行っちゃいますから。そういう意味で、公の入札に限られておりました刑法の競売入札妨害罪、談合罪の適用ですね、これは、今申し上げましたように、この法律の中で入れ込んで、そして特定法人も適用対象にして行ったということで完璧を期したということでございます。
 それから、第二の、先生御指摘の類型の問題でありますが、幇助の類型で、特定の入札談合等に関しまして入札談合等を容易にする目的と、こういう要件を置いた趣旨は何かと、この点でございます。
 この官製談合防止法が、平成十五年です、十五年の初めにスタートいたしました。公取では三件につきまして改善措置の要求を行ってまいりました。入札談合を容易にするための、事業者から、指名競争入札に入れてくれ、あるいは分割発注をしてくれ、あるいは発注基準の引下げ、十五億円を十億円にしてくれとか、十五を十にしてくれとか、そういう発注方法の選定などの事業者の入札行為を幇助ということの行為は、それだけでは入札談合等関与行為に入りにくくて改善措置命令の対象にならぬと、これ公正取引委員長、そのようにお話しされているわけですから。じゃ、最もいい方法は何かということで、よく当局と相談もさせていただきました。そこで、四号の類型をまとめて、そして現在のような形にいたしたわけでございます。つまり、第二条第五項として追加するという形になっています。
 以上です。

○佐藤昭郎君
 今あえて申されませんでしたけれども、この類型を置いた趣旨というのは、私、冒頭申し上げたように、地域振興や中小企業の育成というものとこの官製談合に触れる要件というのはかなり微妙なところがあるんですね。ですが、これは官公需法というような法律があってそこは許されている。地域の振興や中小企業の育成と。しかし、それではない特定の事業に対してやると駄目ですよということで、ここかなり厳しく限定していったというふうに理解して、これは私は評価すべきといいますか、いい類型規定ではないかというふうに思っております。
 次に、時間もございませんので簡単にお願いしたいんですが、民主党さんの方の案で見ますと、やはり一番の問題というのは、第二条第五項四号で職員の不作為を入札談合行為の類型としたわけでございますけれども、この明白なおそれとか、あるいは知りながらとか、防止の措置を講じないというような条件が付いて不作為で措置を行った場合については即アウトという、こういった条項になっておるんですけれども、明確な、今申し上げました執行に当たって様々な、申し上げた、知りながらとかそういった行為の類型を示すことというのは非常に難しい、定義が難しい、公務の混乱を招くんではないか。先ほど私、申しましたけれども、公共工事だけで両省合わせて三万件のやつを一年間やっております、公共工事だけで、図面、仕様書に基づく、そういった状況。
 そして、第四条第四項には、それに応じて、不作為の行為で違反した場合については、損害賠償請求の要求を重過失から過失に改めるということです。これに合わせて予責法や国家賠償法の方も全部重過失から過失に改めていく。重過失というのは、やはり故意に近い過失ですから、そこに何らかの歯止めがある。
 しかし、今、会計検査院で摘発されているような様々な案件について、過失としてすべてこの権限のある職員、しかもこれは入札担当じゃないですね、職務上の地位に基づく影響力を有する職員というところにこの規範が及んでいくということになると、私は公共調達の現場で大混乱が生ずるんではないか、あるいはこれになる公務員というのは一体いるだろうかと、そういう疑念がぬぐえないんですが、いかがでしょうか。
 民主党の方にお願いします。民主党さんに。

○直嶋正行君
 佐藤先生の御質問にお答えさせていただきます。
 冒頭おっしゃったように、様々な構造的な問題があるということは私どももよく承知しております。ただ、そういう中で、やはり談合を規制していくということで考えますと、私どもはやはり抑止力というのを重視をしなければいけないというふうに思っています。
 今の御質問でありますが、私どもが職員の不作為をこの法案に入れました理由は、発注者において、もとより、この入札談合等を防止するための措置をとるのは、これはもう当然のことであるというふうに思っております。それに加えて、やはり今申し上げたように、事前防止とかあるいは発注者による黙認といった行為を防ぐために、入札談合等について発注者に対して確実な資料、根拠に基づいた情報が提供された場合などを想定し、「明白なおそれがあることを知りながら」という要件を付しました。そして、その上で、黙認行為についても入札談合等関与行為として追加したものであります。
 確かに、この入札契約事務を担当する職員の執行は慎重にならざるを得なくなるというふうに思われます。しかし、これらの任務に当たる職員が入札に関して注意を払うというのは、ある意味でいうと職務上当然のことでありまして、先ほど申し上げたとおり、確実な資料、根拠に基づいた情報を黙認することが職員の不作為として入札談合関与行為の対象となったとしても、その職務遂行がいろいろ指摘されますように萎縮をしたりということにはつながらないというふうに思っております。
 それからもう一点、過失、重過失の件がございました。
 先ほど構造的というふうにお話ございましたけれども、官製談合は自由かつ公正な競争社会を、ある意味でいいますとひずめると同時に、予算執行の適正をも害する悪質性の高い行為であるというふうに思っております。しかるに、官製談合等の違法行為に関する職員の責任追及に当たり、故意又は重過失を要件とすることは私法上の一般不法行為責任の要件に照らしても責任の範囲を限定し過ぎているというふうに思っています。
 御承知のとおり、民法上は損害賠償責任は故意及び過失ということになっておりまして、そういった規定を考えますと、一言で言いますと民間並みという視点に立って重過失から過失に改めたということでございます。
 以上でございます。

○佐藤昭郎君
 今、明白な、確実な情報というふうな表現と、明白なおそれの中に一例としてお挙げになったわけですけれども、談合情報というのは様々ありまして、ピンポイントでもこれは明白かもしれない。量じゃない、質の問題もあります。これを不作為という行為になってきますと、職員の方に挙証責任が生じてくるという、私は、これは大変な、萎縮しないと申し上げましたけれども、圧迫感は相当なものだろうと思います。
 それから、最後に申し上げたいのは、これは構造的な問題が今、直嶋先生もおっしゃったようにあります。これは、平成十四年に今の官製談合防止法ができまして、構造的な改革というのは今着々進んでおるんですね。これ三年たちました。この構造改革の進度を見ながら私は対応していくやり方もあると思うんです。その前に、極端なその個人に対する犯則を個々に科していくという改正についてはどうしても賛成しかねるというのが私の意見であります。これは私の意見でございます。
 さて、国土交通省さんと公取の竹島委員長にも来ていただきました。私は、これ、構造的な問題と申し上げましたし、衆議院の附帯決議にも載っておりました、これはこっちでやるよと、個人的な罰則の強化は、公務員の諸君に対する。しかし、一方で、今の公共調達の構造的な枠組みを改革していかなきゃいけない。この面で申し上げますと、私は、やはり今一番問題になっておるのが低入札、ダンピング受注の問題です。
 公共事業発注のこの国土交通、農水の二省に伺いますと、特に特A、Aクラス、国土交通省なら七億二千万、農水省では二億五千万以上のこの上のクラスの工事のダンピング受注が実にもう八〇%から九〇%までになってきているという状況です。これはやはり、いい社会資本を国民に供給していくという問題、そしてこの談合根絶の車の両輪から見ますとやはりゆゆしき問題でありまして、私は、この予定価格を積算するために設計、積算し、また工事監督も行っていくというこの公務員のある意味ではレーゾンデートルにもかかわる重要な問題だと思っております。この低入札の問題というのは、私はしっかりしていかなきゃいけない。
 そういう点で、国土交通省さんにおかれてどのような対応を取ってこの公共調達制度の改革をなさろうとしているのか。そして、でき得れば、地方公共団体は、品確法の定義によりますと、これは責務があるわけですが、それがうまく、今ほとんどの地方公共団体では、特に市町村ではこの総合評価方式が執り行われていないという状況についてどう考えるか。
 それから、時間がございませんので、もし時間がありましたら竹島委員長に、この低入札の横行について、公取として不当廉売や不公正取引の面からこれを抑止することができないかという点について伺いたいと思います。

○政府参考人(佐藤直良君)
 国土交通省におきましては、昨年四月に施行されました公共工事の品質確保の促進に関する法律、これ等にのっとりまして、先生御指摘いただきました総合評価方式、これの拡充を図りつつ、価格と品質が総合的に優れた工事の調達、これに全力で取り組んでいるところでございます。しかしながら、御指摘いただきましたように、著しい低価格による入札受注、いわゆるダンピングが大きな社会問題となっております。
 このいわゆるダンピングにつきましては、工事の手抜き、あるいは下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、そして安全対策の不徹底等につながりやすく、公共工事の品質の確保に深刻な影響を与えるおそれがございまして、私ども、対処すべき喫緊の課題と認識しております。
 このため、国土交通省といたしましては、従来からの取組に加え、去る四月から、低入札価格対象工事におきまして、受注者側、請け負われた業者さんの技術者の増員、あるいは私どもの監督・検査の強化等の施策を内容とする重点的な対策を取りまとめ、現在その推進を図っているところでございます。
 さらに、低入札価格調査案件が高い水準で推移している現下の情勢にかんがみまして、公共工事の品質確保を一層推進する観点から、総合評価方式の一層の拡充並びに低入札価格調査制度のより厳格な運用等を中身とする追加的な対策、これについて現在検討をさせていただいているところでございます。

○政府特別補佐人(竹島一彦君)
 ダンピング受注の問題、大変議論になっておりますし、我々にも、不当廉売というのは独禁法違反に当たる行為のはずなんだからしっかり取り締まれというお話もいただいております。
 おっしゃるとおりでございますので、公正取引委員会、三年前に、低入札価格で受注された物件、約七百件ぐらいの情報を、公正取引委員会があえて発注者側にお願いをして情報を集めて調べました。その結果、たった二件でございましたが、警告をしたということ、ございます。
 建設工事以外では、いろいろお酒だとかガソリンとかでダンピング問題というのがございましてやっておりますが、建設工事については余りやっておりませんで、ただし、今申し上げたようなことでやっております。そういうことは、先ほど国土交通省からの御答弁にもございましたように、国土交通省を始め発注者側もこの低入札価格問題についてはいろいろ積極的にお取り組みになるということで、具体的なことをお決めになって実行されようとしているということもございますので、私はそれの成果が上がることを期待しておりますが、同時に、公正取引委員会としてもその不当廉売に当たるものについてはきちんと法律を適用していきたいと、こういうふうに考えております。