第168回国会 本会議 第16号
平成二十年一月十一日(金曜日)

○議長(江田五月君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。佐藤昭郎君。
   〔佐藤昭郎君登壇、拍手〕
○佐藤昭郎君 私は、自民党・無所属の会及び公明党を代表して、議題となりました内閣提出テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案、以下政府案に賛成、民主党提出国際的なテロリズムの防止及び根絶のためのアフガニスタン復興支援等に関する特別措置法案、以下民主対案に反対の立場から討論を行います。
 民主対案につきましては、そのタイミングが遅きに失し、また内容に多くの問題がありますが、とにもかくにも本院に提出され、本日両案を対比する形で討論を行えることは率直に評価し、民主党発議者の各位に敬意を表したい。
 まず、両案とも特別措置法案であります。特措法は、その名のとおり、緊急の事態に特別、迅速に対応するための法案であり、テロ根絶であれ何であれ、法案に示された対応措置の実行可能性が確実かつ迅速であることが必須条件であり、その条件を満たしていない法案は残念ながら特措法として机上の空論と言わざるを得ません。
 民主対案に示された対応措置のうち、まず、自衛隊部隊の活動については、一、抗争合意が成立している地域、二、住民の生命若しくは身体に被害が生ずることがない地域と、地域に二重の条件を課し、さらに、その活動の前提として別途政令で定める新たな国連決議を条件としております。このような条件が満たされる平和で安全な場所であれば、自衛隊がわざわざ行く必要もないではないかという疑問はともかく、現在のアフガニスタン情勢ではこのような条件を満たす地域は存在せず、また新たな国連決議が困難なことは委員会質疑を通じ民主党発議者も率直に認められたところであります。すなわち、民主対案による自衛隊部隊の活動については実行可能性がない、実際には自衛隊を派遣できないことになります。
 また、これに関連し、質疑の過程で、自衛隊を派遣することが法の目的ではないとの発言が発議者から再三なされましたけれども、我々は、湾岸戦争時の経験等から、我が国の国際平和協力活動は、民生支援と自衛隊の活動は車の両輪であるべきだと考えており、自衛隊の活動を想定していないのではないかと推察される民主対案は、政府案の対案たり得ないと考えております。
 民主対案に示されましたもう一つの柱であります民生支援につきましては、既に我が国がODAで実施済み、あるいは実施可能な活動であり、事実、我が国は既に世界第二位、十二億ドル以上の支援を行っているものであります。
 自衛隊を派遣せず文民による民生支援を充実されるのであれば、わざわざ新法もまた国連決議も不要であり、ODA支援をしっかりやっていけばよい。いや、むしろ民主対案による無用な干渉がかえってODAの迅速、機動的な実施の支障となるおそれがあることを指摘したい。
 法案の有効期限と活動の実効性についても、民主対案については期限一年の特措法として、致命的な問題があります。すなわち、まず、法案成立後に活動地域の調査選定、訓練、人員募集、人間安全保障センターの設立、これらと並行しての抗争停止合意の支援と成立、さらに基本計画を作成し、国会の事前承認と続く工程表を想定すれば、法期限の一年以内に有効な対応措置を実行することはほとんど不可能と判断せざるを得ない。すなわち、新法による民生支援についても実行可能性が低いのであります。
 一方、政府案によるインド洋における海自の洋上補給活動につきましては、過去六年に及ぶ実績により装備は充実しており、隊員の練度、士気も高く、法案成立後速やかに二週間で出航準備、二ないし三か月以内に給油活動を再開できる見通しであります。
 また、OEF―MIOに活動している各国から給油再開についての要望が相次ぐなど、国際社会の評価も定着し、ニーズも確認しております。
 さらに、我が国が消費する石油の九〇%はインド洋を経由して輸入されており、この海域の安全を保つこと、そのために我が国が活動を行うことが我が国の国益にもかなうものであります。
 国際社会における国際平和協力活動も、ODAと同様に、より良い国際貢献を行おうとすれば国際競争力が必要であり、各国とも自国の経済力、軍隊の特性と自国の国益に合致した貢献の場を懸命に探し、国力に応じて活動しているのが現実であります。
 その意味で、インド洋における海自の活動は、国際社会のニーズ、我が国自衛隊の特性、そして我が国の国益が見事に合致した希有な貴重な活動であり、この活動を中断したままにしておくことは、我が国にとって余りにも大きな損失であると断言したい。
 以上、両案の主要な論点のみを比較してまいりましたけれども、我が国が国際社会と連携してテロとの戦い、そしてアフガニスタンの復興支援に貢献するための特別措置を規定する法案としていずれが優れているか、おのずから明白であると確信いたします。
 政府案の一日も早い成立と、インド洋における補給支援活動の再開を強く望むとともに、灼熱のインド洋での困難な任務に再び赴かれる海自の隊員諸君に敬意と感謝をささげつつ、私の討論を終わります。(拍手)