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第168回国会 本会議 第10号
平成十九年十一月二十八日(水曜日)
○議長(江田五月君) 佐藤昭郎君。
〔佐藤昭郎君登壇、拍手〕
○佐藤昭郎君 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました法律案について、賛成の立場から質問をいたします。
まず冒頭、昨日の財政金融委員会において、与党欠席のまま額賀財務大臣などの証人喚問を決定したことは、憲政史上類を見ない暴挙であり、良識の府参議院の歴史に汚点を残すものであることから、これに強く抗議いたします。
さて、先週の十一月二十三日、インド洋での給油支援活動から撤収した海上自衛隊の補給艦「ときわ」が帰国しました。ともに活動した護衛艦「きりさめ」は、二十二日、佐世保に帰港しており、六年に及んだ海自の派遣活動は終了しました。灼熱のインド洋で、練度と忍耐力を要する正に命懸けの任務を事故なく遂行した隊員諸君に、改めて敬意と感謝を申し上げます。
海自は、これまで六年間、延べ五十九隻の艦艇と約一万一千人の隊員を派遣し、十一か国の艦船に、計七百九十四回、四十八万七千キロリットルの燃料を提供しました。十月二十九日の最後の補給相手となったパキスタン艦船は、「自由のための燃料 ときわ ありがとう」と横断幕で感謝を伝えたと報道されております。この活動のどこが武力の行使であり、憲法違反なのか、なぜ米国の戦争に加担しているだけと決め付けるのか。
衆議院における審議では、民主党は本法案の基本的な問題点だとする憲法問題や自衛隊の派遣についての代替案についてはほとんど論議を回避されました。参議院においては、第一党の責任政党として、民主党はこれらの自らの基本的問題とする論点について明確な論拠を示して質疑を行い、国民から見て分かりやすい形で審議を進めるべきだと私は強く望みます。
福田総理に伺います。
総理は、去る十一月十六日、米国を訪問され、日米同盟を一層盤石にしていくこと、テロとの戦いについて日米両国を含む国際社会が引き続いて取り組んでいくこと等を議題としてブッシュ大統領との首脳会談を了されました。その後、ASEAN関連首脳会議に出席され、インド始め各国首脳から給油活動についての感謝と再開への要望が表明されたと聞いています。これら一連の外交日程を了された今、テロとの戦いに対する国際社会の連携や我が国の果たすべき役割について思いを新たにされたのではないでしょうか。本法案の審議を参議院で始めるに当たって、本法案が我が国の国益にとっていかなる重要性を持つのか改めて御説明いただくとともに、早期成立と給油支援活動の再開へ向けての決意を伺います。
総理は、十月三十日の会談以来、先週の二十二日の会談まで都合三回の小沢代表との党首会談を持たれました。二十二日の会談の主要テーマは本法案への対応であり、総理からは小沢党首に対して、民主党の協力を求め、拒絶されると、それでは反対してほしい、会期内に否決してほしい、何とか頼むと発言されたと報道されております。我が国の総理がここまで辞を低くして野党に対して一法案の成立、いや審議そのものを懇請されたことがかつてあったでしょうか。参議院選挙の敗北が招いた結果とはいえ、与党議員の一人として誠に申し訳なく、複雑な思いであります。
小沢党首の発言として、憲法など基本的な点で大きな違いがあると報道されました。小沢党首すなわち民主党の本法案に対する基本的意見は当初より明らかです。すなわち、憲法問題については、インド洋における海自の活動は我が国の集団的自衛権の発動であり、憲法の禁ずる武力行使に当たるから憲法違反である、また、国連中心主義についての論点の概要は、国連の活動に積極的に参加することは、たとえそれが結果的に武力の行使を含むものであっても何ら憲法に抵触しない、むしろ憲法の理念に合致する、私が政権を取って外交・安保政策を決定すべき立場になれば、アフガニスタンではISAFへの参加を実現するというものであります。
この二つの論点をそのまま受け入れることは、政府・自民党にとりまして従来の憲法解釈の大転換であり、また我が国の平和と安全を国連にゆだねる点で、外交・安保政策の大きな変更となります。会談が物別れに終わったことは、総理が安易な妥協を拒否されたことの証左であると思いますが、種々の報道がなされ、我が党の支持者も情報不足から心配をしております。これら基本的論点に対する総理の見解を伺うとともに、両党の論点の違いを党首討論等を通じて国民に広く披瀝し、国民が今後予想される総選挙等での判断の材料にしてもらうべきと考えますが、いかがでしょうか。
アフガニスタン復興支援活動への自衛隊の派遣の方法について伺います。
政府は、海自による洋上補給活動を現下の状況から自衛隊派遣の方法としては最適であると判断され、本法案を提出していますが、民主党は、対案として発表されたアフガニスタン復興支援等に関する特措法骨子案において全く異なる派遣方法を提案されました。すなわち、ISAF本隊へは派遣は行わず、この点は小沢持論と全く異なっておりますけれども、それはそれとして、自衛隊の派遣に関しては、戦闘部隊は一切含まず、人道支援やインフラ整備にかかわるものに限って派遣する、また実施地域として、停戦合意が成立している地域又は停戦合意が成立していないが民間人への被害が生じない地域で実施するとしています。私には、国際社会のニーズや自衛隊の能力、特性について検証の上で作成されたものとはとても考えられませんが、防衛大臣の見解を伺います。
また、民主党骨子案では、海自の補給活動について、国連の決議に基づき行われることとなったときには、これに参加するために必要な法制の整備について、その要否を含めて検討するとしています。日本のためだけに新たな安保理決議を今から作るようなことを国際社会が受け入れるかどうか、また、そもそも安保理決議の授権が必要なのか。テロとの戦いは時間との戦いでもあります。外務大臣の見解を伺います。
給油問題への対応について伺います。
私は、この問題は、これまで述べてきた基本的な問題に比較すると枝葉末節な議題と考えますが、衆議院テロ特委では野党質問時間の実に四割近くがこの問題に費やされました。
私の理解では、政府の見解は一貫していて、一、補給燃料は対象艦船に搭載されるその他の燃料と混じり一体不可分となる。二、このため、海自が補給した燃料と同量以上の燃料がテロ対策海上阻止活動に係る任務を遂行している間に消費された場合は我が国が補給した燃料が適切に使用されたものとみなす。三、対象艦船がテロ対策海上阻止活動の任務にだけ従事することは法律上の必要条件ではないと理解しております。
衆議院の質疑において政府は、国民の理解を得る観点から、これだけでは十分でないとして、運用上の条件、例えば補給を受けた艦船がテロ対策海上阻止活動の任務に先行してイラクの自由作戦に従事することがあらかじめ判明している場合等には補給を行わないとするなど、言わば十分条件を述べられました。法律上必要とされる必要条件、そして運用上適用しようとしている十分条件について、官房長官の明快な説明を求めます。その上で、私の意見として、参議院においては、政府はもちろん、国会にも多大な消耗を強いる割には成果のない給油問題での質疑は打ち止めにしていただきたいと考えております。
防衛省不祥事については、常軌を逸した問題であり、参議院外交防衛委員会における証人喚問、参考人質疑を経てもまだまだ解明されたとは考えられません。この問題の解明は極めて重要な問題でありますが、国内問題であります。本法案の審議よりもこの問題の解明が先だとの考え方は我が国の国益を損ねます。国会において会期末が迫り、参議院における委員会の質疑時間が限られる中、私は、不祥事の解明は、委員会の定例日以外の日にも委員会を開催して、この中で同時並行して行うべきだと考えます。
最後に、テロとの戦いに我が国の優れた自衛隊を活用することを目指すなら、何ができないという言い訳探しではなくて、今何ができるかを論ずることが国会の責務であります。と同時に、国会が我が国の国益に資する法案を適時適切に決定し、それに従って自衛隊が派遣され活動することがシビリアンコントロールの真髄であることを最後に申し上げたい。
灼熱のインド洋で活動を続けてきた海自の隊員諸君に改めて敬意と感謝をささげつつ、本法案の一日も早い成立と補給支援活動の再開を望みまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(福田康夫君) 佐藤議員にお答え申し上げます。
補給支援特措法案の早期成立と活動再開に向けての決意についてお尋ねがございました。
インド洋における海上阻止活動は、多くの国が各々の能力を生かしながら協力して実施しております。我が国も、その持てる能力と憲法の範囲内で何ができるかを真剣に検討した結果、これまで補給活動を実施してまいりました。テロとの戦いが道半ばである現在、他の国が忍耐強く協力している中で補給活動から脱落することが我が国としてふさわしいでありましょうか。我が国は、平和で安定した国際社会という基盤の上においてのみ繁栄を享受できる国家であり、国際社会との緊密な相互依存関係に基づいて自らの発展を実現するほかに道はございません。このことを考えると、我が国は国際社会の一員としての務めを果たさなければならないという自覚を強く持たなければなりません。
そのような観点からも、国際社会が取り組んでいる本活動に我が国が引き続き参加すべきと考え本法案を今国会に提出したところであり、その速やかな可決、成立と補給支援活動の早期再開に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
次に、自衛隊の海外における活動と憲法に関する見解についてお尋ねがございました。
まず第一の論点でありますインド洋における海上自衛隊の補給活動については、明らかに実力の行使には当たらないため、国家による実力の行使についての概念である集団的自衛権の行使といった問題が生じることはありません。
また、旧テロ対策特措法及び補給支援特措法案に基づく活動は、それ自体武力の行使に当たらず、また我が国の活動の地域が非戦闘地域であるということなどの法律上の枠組みが設定されておりまして、憲法第九条に違反することはないものと考えております。
次に、第二の論点でございます武力の行使を含む国連の活動についてでありますが、政府としては従来から、我が国に対する武力攻撃が発生していない状況においては、国連安保理決議に基づく措置であっても、憲法第九条によって禁じられている武力の行使に当たる行為を、これを我が国が行うことは許されないというものと考えております。
したがって、民主党の小沢代表は、国連の活動であれば武力の行使を含むものであっても憲法に抵触しない等と述べておられますが、こうした見解を政府は取っておりません。私も取っておりません。
いずれにせよ、憲法にかかわる問題でございますので、国会においても大いに議論していただきたいと思います。政府としては、国連の活動への協力と憲法第九条によって禁じられている武力の行使との関係について、これまでも国会等の場を通じ政府の考え方を国民に対して御説明をしてまいっておるところでございます。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕
○国務大臣(町村信孝君) 佐藤議員にお答えをいたします。
補給支援特措法案に基づく補給支援活動の対象の範囲についてお尋ねがありました。
佐藤議員御質問の中で詳細に私のお答えしたいことはもう述べていただいておりますが、重ねて私の方からも申し上げますが、旧テロ特措法の下では、不朽の自由作戦に従事する艦船に対して補給活動を実施してきたところでございます。今回の補給支援特措法案の下では、ある外国の艦船が補給支援活動の対象となるためには、当該艦船が第三条第一号に規定するテロ対策海上阻止活動に係る任務に従事するものであり、当該艦船に対して補給支援活動を実施することがテロ対策海上阻止活動の円滑かつ効果的な実施に資するものであると認められることが必要でございます。
その際、当該艦船が実態としてテロ対策海上阻止活動に係る任務に当たっていることが重要であると考えており、そのような艦船である限り、テロ対策海上阻止活動に係る任務以外の任務を付与されている場合であっても、本法案に基づいて補給を行うことは可能であると考えております。
また、我が国が補給する燃料は、その性質上、補給実施後は対象艦船に搭載されているその他の燃料と一体不可分となるものでございます。このため、我が国が補給した燃料と同量以上の燃料が、補給実施後においてテロ対策海上阻止活動に係る任務を遂行している間に消費された場合は、我が国が補給した燃料が適切に使用されたと考えられます。その間において、テロ対策海上阻止活動に係る任務に従事していないことが一時たりともあってはならないとの法律上の要件があるわけではございません。
以上が法案の規定の解釈に関する考え方でありますが、実際に補給支援を行うか否かについては個別具体的に検討する必要があります。実際には、バーレーンにあります司令部における連絡調整を通じ、対象艦船の行動計画、想定される活動内容等を把握しながら総合的に判断をすることにしております。
その際、ある外国の艦船について、例えば御指摘があったように、補給の後、テロ対策海上阻止活動に係る任務に先立ってテロ対策海上阻止活動に係る任務に従事することなく、例えばイラクの自由作戦に係る任務に従事することがあらかじめ判明している場合や、あるいは補給後はテロ対策海上阻止活動に係る任務に従事するが、我が国が補給した燃料の量を消費する前にテロ対策海上阻止活動に係る任務を中断して、例えばイラクの自由作戦に係る任務に従事し、その後再びテロ対策海上阻止活動に係る任務に従事することがあらかじめ判明している場合などは、法律上の問題は全くございませんけれども、運用上の問題として、国民の理解を得る観点から、基本的には補給を行わないとの方針を取るべきものと考えているところであります。(拍手)
〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
○国務大臣(石破茂君) 佐藤議員にお答えをいたします。
民主党の骨子案についてのお尋ねをちょうだいをいたしました。
恐らく民主党におかれましては、この骨子が法律案の概要になり、要綱になり、法案になさるべく精力的な作業をお進めのことかと拝察をいたしております。
いまだ骨子の段階で政府としてお答えをするのは極めて困難なことでございますが、第一党から示されました骨子案を拝見をいたします限り、重要な論点が幾つかあろうかというふうに考えております。
まず、停戦合意が成立している地域というふうにしておられますが、この合意はだれとだれとの間においてなされるのかということにつきまして今後御議論があるものというふうに承知をいたしております。あるいは、どのようなニーズがあるのか、そして、佐藤議員御指摘のように、自衛隊の能力、適性、それに見合ったようなどのようなニーズがあるのかということでございます。
さらに、民間人への被害が生じない地域で実施するというふうになさっておられます。その地域は一体どこであるのか、それをだれが判断をするのかということでございます。そして、その地域において我が国の国民の安全はだれがどのようにして確保されるのか。そのような論点が今後議会においてなされるのではないか。私どもといたしましては、そのような議論がなされます、そのようなことを今後予想いたしております。
どうか、そのようなことにつきまして、議会におきまして御議論を賜りますように私としては期待をするものでございます。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(高村正彦君) 海上自衛隊の補給活動と国連安保理決議の関係についてのお尋ねがありました。
海上自衛隊が補給活動を実施するために、国際法や憲法との関係で安保理決議が必要ということは全くありません。また、海上阻止活動は既に約六年間にわたり国際法に従って行われてきた活動であり、我が国がこれまで行ってきた支援を再開することのみのために新たな安保理決議を作成するようなことに、国際社会の理解を得ることは甚だ困難だと考えます。(拍手)
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